外形監視とは?Synthetic Monitoringの仕組みと内部監視との違い
外形監視とは何か
外形監視(がいけいかんし)とは、Webサイトやサービスをネットワークの外側から実際にアクセスして、正常に稼働しているかを確認する監視手法です。英語では Synthetic Monitoring や External Monitoring と呼ばれます。
「外形」という言葉が表すとおり、サーバーの内側から自己診断するのではなく、ユーザーと同じ経路でアクセスするのが最大の特徴です。どんなにサーバー内部が健全でも、ネットワーク経路やDNS設定が壊れていれば実際のユーザーはサイトにたどり着けません。外形監視はその「外から見た状態」を常に確かめます。
内部監視との違い
サーバー監視には大きく2つのアプローチがあります。
| 外形監視(External) | 内部監視(Internal) | |
|---|---|---|
| 監視する場所 | サーバーの外(インターネット経由) | サーバーの内部 |
| 検知できる問題 | サイト表示不可、SSL期限切れ、ドメイン期限切れ、レスポンス遅延 | CPU過負荷、メモリ不足、ディスク逼迫 |
| ユーザー視点か | はい | いいえ |
| 代表的なツール | Miterl、UptimeRobot、Site24x7 | Zabbix、Prometheus、Datadog |
| 導入コスト | 低い(エージェント不要) | 中〜高(エージェントインストールが必要) |
Web制作会社がクライアントサイトを監視する場合、外形監視が出発点になります。サーバー側のアクセスが不要なため、クライアントの承認を得ずに即日導入でき、「実際にユーザーから見てサイトが使えるか」を直接確認できるからです。
外形監視の4つのチェック種類
Miterlが提供する外形監視は、HTTP・Ping・SSL・WHOIS(ドメイン有効期限)の4種類です。
HTTP監視 — ページが「見える」か確認する
最も基本的な外形監視です。指定URLへリクエストを送り、ステータスコードや本文、レスポンスタイムを検証します。
# HTTP監視のイメージ(curlで手動確認する場合)
curl -o /dev/null -s -w "ステータス: %{http_code}\n応答時間: %{time_total}秒\n" \
https://example.com
Miterlでは上記と同等のチェックを最短1分間隔(Proプラン。Standardは最短3分、Freeは最短5分)で自動実行します。ステータスコードが200以外になった瞬間、または応答時間が閾値を超えた時点でアラートを発報します。ステータスコード別にどこを障害と判定するか(5xx・4xx・タイムアウトの扱い分け)は「HTTP応答障害を検知する監視設定ガイド」で詳しく解説しています。
Ping監視 — サーバーが「生きている」か確認する
ICMPパケットを送信し、サーバーが応答するかを確認します。アプリケーション層よりも低いレベルの死活確認で、サーバーそのものがダウンしているかを素早く検知します。HTTP監視と組み合わせることで、「アプリが落ちているのかサーバーごとダウンしているのか」を切り分けられます。
SSL監視 — 証明書が「有効」か確認する
SSL証明書の有効期限・チェーンの正当性・ドメイン名の一致をチェックします。
# SSL証明書の残り日数を手動確認する例
echo | openssl s_client -connect example.com:443 2>/dev/null \
| openssl x509 -noout -enddate
証明書が期限切れになるとブラウザは警告ページを表示し、ユーザーはサイトにアクセスできなくなります。Miterlでは失効○○日前からアラートを送るため、更新忘れを防げます。
WHOIS監視 — ドメインの「有効期限」を見張る
ドメインの有効期限が切れると、どんなにサーバーやアプリが健全でも名前解決が止まり、誰もサイトにたどり着けなくなります。WHOIS監視はドメインの有効期限を定期的に確認し、失効する前にアラートを送ります。ドメイン管理を代行する制作会社にとって、更新忘れによる致命的なサイト停止を防ぐ重要なチェックです。whois_expiry_alert_days で失効何日前に通知するかを指定できます。
メール認証監視 — 「第5の外形監視」としてのSPF/DMARC/DKIM/MX
2026年6月のアップデートで、Miterlはメール認証レコードの監視(MX・SPF・DMARC・DKIM)を追加しました。HTTP・Ping・SSL・WHOISに続く、第5の外形監視タイプです。
メール認証レコードは「設定した時点では正しい」が、ドメイン移行やDNS編集のミスで気づかないうちに壊れるのが問題です。SSL証明書と違い残り日数が見えないため、障害は常に事後発覚になりがちです。制作会社が複数クライアントのドメインを管理している場合、以下のような壊れ方を機械的に検知する仕組みが不可欠です。
- SPFの
v=spf1を消してしまい、レコードが認識されなくなった - メール送信SaaSを追加してSPF lookupが10回上限を超えた(RFC 7208 違反)
- DMARC編集時に
p=タグを書き忘れ、無効レコードになった - DKIMセレクタを切り替えたが新しいTXTレコードの公開を忘れた
# メール認証(SPF)監視を追加する例
curl -X POST https://miterl.com/api/v1/monitors \
-H "Authorization: Bearer YOUR_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"name": "client-a SPF監視",
"url": "client-site.example.com",
"type": "spf",
"interval_seconds": 3600
}'
監視を設定する前段階として、SPF・DMARC・DKIMの各レコードが構文として正しいかを一度確認しておく必要があります。レコードの正しい書き方・よくある設定ミス・digコマンドでの検証手順は「SPF・DMARC・DKIMの設定確認手順」にまとめています。設定が正しいことを確認できたら、常時監視への切り替え手順と運用フローは「SPF・DMARC・DKIM・MXを常時監視する方法」で解説しています。
なぜ外形監視だけでも十分なのか
内部監視(Zabbix等)は強力ですが、クライアントサイトの保守を請け負う制作会社には過剰なケースがほとんどです。
- エージェントのインストールにクライアントの協力が必要
- サーバーやOSの種類に依存する設定が複雑
- 保守コストが高い
一方、外形監視はURLさえ分かれば即日設定できます。「サイトが表示される」という最終的な事実をユーザー視点で確認できるため、クライアントへの説明もシンプルです。
外形監視と内部監視を組み合わせる場面
VPSや専用サーバーを管理する場合は、外形監視に加えて内部監視も検討する価値があります。
- 外形監視でサイトダウンを検知 → 同時にサーバーリソースが枯渇しているか確認
- 内部監視でCPU/メモリ使用率が急上昇 → 外形監視でユーザー影響が出ているか確認
この2つをセットで持つことで「なぜ落ちたか」の原因特定が速くなります。ただし、最初のステップとして外形監視から始めて、必要に応じて内部監視を追加するのが現実的な進め方です。なお、cronやバッチ処理のように外からアクセスできない処理の死活は外形監視では捉えられないため、「ハートビート監視とは?cronジョブの死活確認を自動化する方法」で解説する受動型のハートビート監視を併用します。
Miterlで外形監視を設定する
MiterlはHTTP・Ping・SSL・WHOIS の4種類の外形監視をすべて一つのダッシュボードで管理できます。APIで設定を自動化できるため、クライアントサイトが増えても運用負荷が増えません。
# Miterlで新しい外形監視(HTTP)を追加する例
curl -X POST https://miterl.com/api/v1/monitors \
-H "Authorization: Bearer YOUR_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"name": "client-a 本番",
"url": "https://client-site.example.com",
"type": "http",
"interval_seconds": 60,
"alert_contact_ids": [1, 2]
}'
alert_contact_ids には通知先(アラートコンタクト)のIDを整数の配列で指定します。通知先はダッシュボードで作成し、GET /api/v1/alert-contacts でID一覧を取得してください。監視の種類(type)を "ping"・"ssl"・"whois" に変えるだけで、同じ構文で別のチェックを追加できます。クライアント別の整理(タグ付け)はダッシュボードで行えます。
制作会社向けの推奨構成
| 監視種別 | チェック間隔 | 優先度 |
|---|---|---|
| HTTP監視 | 1分 | 必須 |
| SSL監視 | 1日 | 強く推奨 |
| WHOIS監視 | 1日 | ドメイン管理代行時に推奨 |
| Ping監視 | 1分 | 専用サーバー管理時に追加 |
よくある質問
外形監視とは何ですか?
Webサイトやサーバーをネットワークの外側から実際にアクセスして稼働状況を確認する監視手法です。HTTP・Ping・SSL・WHOISの4種類(メール認証を含めると5種類)が代表的なチェックで、サーバー内部の状態に依存せず「ユーザーから見て使えるか」を直接確認できるのが特徴です。詳しくは本記事冒頭の解説をご覧ください。
外形監視はどのプランから使えますか?
HTTP監視・Ping監視は全プランで利用できます。一方、SSL監視はStandardプラン以上、WHOIS監視はProプラン限定の機能です。メール認証監視(SPF・DMARC・DKIM・MX)には現時点(2026年8月)で監視タイプ自体のプラン制限はなく、契約中の監視数上限(Free 5件/Standard 100件/Pro 500件)の範囲内で追加できます。
チェック間隔は1分に設定できますか?
チェック間隔の下限はプランによって異なります。**Freeプランは最短5分(300秒)、Standardプランは最短3分(180秒)、Proプランは最短1分(60秒)**です。本記事の「制作会社向けの推奨構成」で紹介した1分間隔のHTTP監視・Ping監視を利用するにはProプランが必要になる点にご注意ください。
外形監視だけで内部の異常(メモリリークなど)も分かりますか?
分かりません。外形監視はユーザー視点での「表示できるか・応答が速いか」を検知しますが、CPU使用率やメモリ不足といったサーバー内部のリソース状態は検知対象外です。VPSや専用サーバーを自社管理している場合は、本記事の「外形監視と内部監視を組み合わせる場面」で紹介した内部監視の併用を検討してください。
まとめ
外形監視は、Webサイトを「ユーザーの目線」で常に確認し続ける監視手法です。エージェント不要・即日設定可能という特性から、クライアントサイトを多数管理する制作会社に特に適しています。
- 外形監視はネットワークの外からアクセスしてユーザー視点の稼働状態を確認する
- HTTP・Ping・SSL・WHOISの4種類が主な監視メニュー
- 内部監視と組み合わせると障害の原因特定がさらに速くなる
- 制作会社はまず外形監視から始め、必要に応じて内部監視を追加するのが現実的
各監視の詳細な設定方法はドキュメントを参照してください。実際の動作は無料プランでそのまま試せます。保守契約への組み込み方はWeb制作会社が死活監視を保守契約に組み込むべき5つの理由で詳しく解説しています。複数クライアントサイトを効率よく管理する運用ノウハウは「複数サイトを効率的に監視するコツ」もあわせてご覧ください。レスポンスタイムの監視・閾値設計については「レスポンスタイム監視とは?」で詳しく解説しています。監視ツールの選び方は死活監視ツール比較記事も参考にしてください。公開前に外形監視をテスト工程へ組み込む手順は「公開前テスト自動化ガイド」で解説しています。監視して終わりではなく、その結果をクライアントに届けるところまでの実践は「クライアントポータルで監視状況を可視化する方法」で解説しています。制作会社が実際に外形監視を保守サービスへ組み込んだ事例はWeb制作会社のユースケースもご覧ください。